高齢者が食欲不振になる原因は?放置するリスクや予防・改善方法を解説



「以前のように食べられなくなった」「食事時間が億劫に感じる」など、食欲不振に関するお悩みを抱えていませんか?


高齢者の場合、食欲不振の状態が続くと、低栄養や低血糖、脱水といった危険な症状が出てしまうので、食が遅くなってきたとお悩みの方は、早めに食欲不振の原因を知り、適切な対策を取りましょう。

 

この記事では、高齢者が食欲不振になる原因や放置するリスク、食欲不振の予防・改善法について解説していきます。


 

高齢者が食欲不振になる原因は?



高齢者が食欲不振になる原因には、以下の10の原因が考えられます。

 

<高齢者が食欲不振になる原因>

1.     飲む力・噛む力の低下

2.     内臓機能の低下

3.     感覚器(味覚・嗅覚・視覚)の機能低下

4.     運動量の低下

5.     病気

6.     精神的ストレス

7.     生活習慣の乱れ

8.     薬の副作用

9.     口腔状態の悪化

10.   身の回りの環境

 

それぞれ解説していきましょう。


 

飲む力・噛む力の低下


加齢が進むと顎や舌、喉や口周りの筋力が低下したり健康な歯が少なくなったりするため、飲み込む力や噛む力が低下してしまいます。これらの力が低下すると今まで食べられていたはずの食べ物が食べにくくなり、食事をするたびにストレスを感じてしまいます。その結果、食欲不振につながります。

 

内臓機能の低下

加齢が進むと胃や腸といった消化器官の機能が低下し、胃の中に長時間食べ物が残りやすくなります。胃の中に食べ物がある状態だと空腹を感じにくくなるため、食べる意欲がなくなり食欲不振を引き起こします。


 

感覚器(味覚・嗅覚・視覚)の機能低下


高齢になると、味覚や嗅覚、視覚などさまざまな感覚機能が低下してきます。特に、味を感じる味蕾と呼ばれる舌の器官は、赤ちゃんの頃から比べると3分の1まで数が減ってしまうので、高齢者は何を食べても同じように感じてしまい、食欲不振を招きやすいのです。


 

運動量の低下


人間は体を動かすとエネルギーが消費されるため、消費されたエネルギーを補給するためにお腹を空かせて食事を摂ります。しかし、高齢になると運動量が減るため空腹を感じにくくなり、食欲不振を招いてしまうこともあります。


 

病気


高齢者が食欲不振を起こす原因には、病気の可能性も考えられます。

 

たとえば食道や内臓に炎症やがんなどの病気があると、食欲がどんどん落ちていってしまいます。食欲不振に加えて吐き気や下痢を伴う場合は、病気が発症している可能性が高いです。

 

体の病気だけでなく、脳の病気である認知症も食欲不振の原因の一つです。認知症になると食べ物が認識できなくなったり箸などの食器の使い方がわからなくなったりしてしまい、一人で食事ができず食欲不振につながってしまいます。認知症は無気力や無関心も引き起こすため、食事への興味がなくなってしまうこともあります。


 

精神的ストレス


高齢者になると、パートナーとの死別や長いひとり暮らしからの孤独感、慣れない介護生活など、さまざまなことが原因で精神的ストレスを感じやすくなります。精神的ストレスが増えると食事が喉を通りにくくなり、食欲不振を引き起こしやすいです。


 

生活習慣の乱れ


食べる時間や寝る時間がバラバラになると生活習慣に乱れが生じ、自律神経が狂ってしまいます。自律神経が乱れると胃腸の働きが弱まるため、食欲不振を起こしやすいです。

 


薬の副作用


病気で薬を服用していると、薬の副作用により食欲不振になることもあります。痛み止めや強心剤、抗がん剤や抗生剤などさまざまな薬が食欲不振を引き起こすリスクがあるので、どのような作用を持つ薬を服用しているかを理解しておきましょう。


 

口腔状態の悪化


虫歯や歯周病、口内炎など、口腔機能が低下すると食事をする際に痛みなどのストレスを感じてしまいます。そうなると食事をするのが億劫になり、食欲不振を引き起こしてしまうのです。

 


身の回りの環境


ひとり暮らしの高齢者の場合、「自分のためだけに毎回食事を用意するのが面倒」「そもそも料理を作れない」といった理由から、食事の回数が減ってしまうケースもあります。

 

食べる回数が減ると結果的に食欲不振へとつながるため、身の回りの環境は高齢者の食欲に大きく関係しているのです。


 

高齢者の食欲不振を放置してしまうとどうなる?